伝親鸞筆「十字名号二僧御影」
絹本著色 縦137.6cm 横39.5cm
裏(貼紙)に、「十字名号 但シ対座御影 見師大師真跡」とあり、寺伝では「法然・親鸞対座御影」とされてきた。
「帰命盡十方无寸光如米」の文字に連座・後光を描いて文字仏尊とした御影は、親鸞筆と伝えられる「十字名号」に類例がある。このなかで、前橋妙安寺「十字名号」は、親鸞とこの寺の開基である成然との列座像である。
当寺の「十宇名号二僧御絵」は、札銘の文字が判読できず、寺伝の「法然・親鸞対座御影」であるか、親鸞と弟子を描いたものかを明らかにすることはできない。また上下の賛銘の文字の剥落がひどく判読不能である。
早島有毅氏は、「目の荒い絹を用い、全泥籠文字で書いた十字名号から光明四十八条を放ち、尊号の両脇には上畳に坐した二僧像を描き上下に賛銘を墨書し、描表装(かきびょうそう)を施してある。銘文は剥落はなはだしく判読し得ない。二憎の札銘の文字も判読できないものの、向かって右の人物の表情は尼憎であり、両人はこの本尊を安置した夫婦を図示すると椎定される。蓮台には後世の補彩の跡が見られ、元来の色彩とは異なる。地方で作られたもののようで、室町時代初期の作品と椎定される」(「真宗重宝聚英 第一巻」 名号本尊)と、書いておられる。
明治九年の長命寺什物証券では、本山事務所長石川舜台によって、「十字名號祖師真蹟」と鑑定されている。